動物取扱業とは
動物取扱業とは、動物(哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するものに限り、畜産農業に係るもの及び試験研究用又は生物学的製剤の製造の用その他政令で定める用途に供するために飼養し、又は保管しているものを除く)の取扱業(動物の販売(その取次ぎ又は代理を含む)、保管、貸出し、訓練、展示(動物との触れ合いの機会の提供を含む)その他政令で定める取扱いを業として行うことをいいます(動物愛護法10条1項)。
これらの営業を行うには登録が必要となりました。
動物取扱業の対象となる業種
動物取扱業の対象となる業種は以下の5種類です。
1)販売
動物の小売り及び卸売り並びにそれらを目的とした繁殖又は輸出入を行う業(その取次ぎ又は代理を含む)。
例:小売業者、卸売業者、販売目的の繁殖又は輸入を行う業者、露天等における販売のための動物の飼養業者、飼養施設を持たないインターネット等による通信販売業者
2)保管
保管を目的に顧客の動物を預かる業
例:ペットホテル業者、美容業者(動物を預かる場合)、ペットシッター
3)貸出し
愛玩、撮影、繁殖その他の目的で動物を貸し出す業
例:ペットレンタル業者、映画等のタレント・撮影モデル・繁殖用等の動物派遣業者
4)訓練
顧客の動物を預かり訓練を行う業
例:動物の訓練・調教業者、出張訓練業者
5)展示
動物を見せる業(動物とのふれあいの提供を含む)
例:動物園、水族館、動物ふれあいテーマパーク、移動動物園、動物サーカス、乗馬施設、アニマルセラピー業者(「ふれあい」を目的とする場合)
※猫カフェなどもここに入ります。
動物取扱業の対象となる動物
動物取扱業の対象となる動物は限定されており、哺乳類、鳥類、爬虫類に限ります。また、畜産農業に係るものや試験研究用、生物学的製材の製造などのために飼養・保管されているものはこの規制の対象からは外れます。
動物取扱業者の義務
動物取扱業を営むには都道府県知事に届け出る必要があります。また、届出の際に動物取扱主任者を設置しなければなりません。
動物愛護法においては、このほかにも、動物取扱業者が守らなければならない義務規定を設け、悪質な業者を排除するよう規制しています。
動物取扱業者の規制について
動物愛護管理法が改正され、平成25年9月から施行されます。これにより、登録が必要なペット関係事業が増えています。
下記は平成18年改正時のポイントです。
1、施設を持たない業種も新たに登録の対象となりました
2、法の基準に適合しない場合は登録の拒否、取消、業務停止命令もあります
3、ペット販売業者は販売時に購入者に対する重要事項説明が必要になります
4、事業所ごとに常勤かつ専属の動物取扱責任者を選任、研修受講が必要です
5、登録は5年ごとに更新が必要です
動物に関する法務サービス
当事務所でお受けする動物法務関連の主なサービスです。
●各種許認可申請など
・各種動物取扱業登録申請
・犬の登録申請、狂犬病予防法に関する届出
・特定動物の飼養許可、特定外来生物の飼養許可
・鳥獣保護法に関する許可・届出
・動物用医薬品販売業許認可
・畜舎の登録
・開発行為許可申請
・輸出入に関する許可申請
●動物に関する契約書などの作成
・売買契約書(ペットショップなど)
・事前事項説明書(ペットショップなど)
・約款
・寄託契約書(ペットホテルなど)
・里親契約書
・和解契約書(ペットトラブル解決時)
●動物関連コンサルティング
(情報収集、調査、相談、書類作成、リーガルチェック等)
ペットの法律上の地位
近年になって、ペットに対する価値観は大きく変わりつつあります。高齢社会化に伴い、ペットを愛情の対象から生活の伴侶(いわゆるコンパニオンアニマル)とする考え方も次第に社会に受け入れられつつあるように思います。そのため、人が動物と接する機会も増えています。
このように、生命をもち、家族の一員のように生活を共にするペットですが、法律上の地位は残念ながら「物」(動産)でしかありません。
したがって、人間の所有の対象となり、法律上ペットが財産を所有したり、契約当事者になったりすることはあり得ません。もちろん、家族の一員と言ってもペットに対して遺産を相続させるようなことも出来ません。
このように、法律上の地位としては、ペットと人間とは全く別のものとして区別されます。
■ペットトラブル
上記のように、法律上はペットはあくまで「物」であり、人間の所有の対象にすぎないため、ペットが起こした様々なトラブルに関しても、最終的に責任を負うのは人間です。よくあるトラブルの一例として、次のようなものが見られます。
・鳴き声、異臭などによる近隣間のトラブル
・散歩の途中などの咬傷事故
・動物病院、トリマーなどへの依頼(準委任)に関するトラブル
・購入したペットが事前に説明されていたものと違う、といった契約トラブル
・ペットの虐待
など
ペットとして飼える動物
ペットの範囲を限定する法律はありませんが、様々な法令で取引・輸出入の制限や許可が必要なケースが定められているため、実際にはペットとして飼える動物と飼えない動物が決まっていることになります。たとえばワシントン条約で絶滅危惧種に関しては捕獲自体が禁止されていますし、文化財保護法では希少動物を特別天然記念物に指定したりしています。また、危険性のある動物については、条例等で特定動物として指定し、許可を受けた者以外が飼養することを制限したり、基準を満たした施設の外に出したりすることがないようにしています。
飼主の責任と義務
動物・ペットの飼主については、法令上も道義上も様々な責任が伴います。これは、単なる「物」の所持者ではなく、生命をもつ「動物」の飼主としての責任だと言うことが出来るでしょう。
まず、飼主は、動物を適正に飼養する義務があります(動物愛護法7条)。責任を十分自覚し、適正に飼養し、動物の健康を保持するように努めなければなりません。
次に、自分のペットであっても虐待したり、遺棄したりすることは出来ません(動物愛護法44条)。これには罰則もあることに留意しましょう。
さらに、「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」という環境省の告示によって、犬や猫を飼う人に対する細かな規制をしています(罰則はありません)。
そして、これら以外にも、地方公共団体が独自に条例で定めていたりしますが、基本的には、動物の本能や習性を正しく理解し、家族同様の愛情をもって飼養すべきでしょう。
血統書って何?
「血統書」とは、犬や猫の血統を登録している団体が、当該動物の血筋について血統を証明する血統証明書のことをいいます。
日本には多くの登録団体がありますが、有名な例としてはジャパンケンネルクラブ(JKC)などがよく知られています。これらは法律上の制度ではなく、あくまで民間団体が発行している物であるところがポイントです。
血統書は、品質保証書のような役割を果たしていると言えますが、個々の動物の能力や健康状態については、血統書の有無のみで決まるわけではないでしょう。
ただし、血統書付きで販売しているにもかかわらず血統書が交付されないような場合は、債務不履行にあたりますのできちんとした対応をすべきです。