ご相談をお待ちしております。
著作権登録申請などについてご相談を承っております。
当事務所の行政書士は、東京都行政書士会著作権相談員名簿に登載されています。
著作権とは
著作権とは、著作物に対する権利で、知的財産権の一種です。主に「著作者の権利」と「著作隣接権」(伝達者の権利)に分けられます。知的財産権には他に特許権、実用新案権、意匠権、商標権などの産業財産権と呼ばれるものや、 回路配置利用権、育成者権(種苗法)などがあり、営業秘密(不正競争防止法)等も含まれます。
誤解されやすいところですが、著作権は著作物が生まれた瞬間から発生しますので、著作者が取得するのに手続等は必要ありません。これは国際的ルールで、「無方式主義」と言います。
【知的財産権】
『著作権』――――「著作者の権利」著作物を保護
「伝達者の権利(広義の著作隣接権)」実演等を保護
『産業財産権』――「特許権」発明を保護
「実用新案権」考案を保護
「意匠権」物品のデザインを保護
「商標権」マーク等の営業標識を保護
『その他』――――「回路配置利用権」半導体の回路配置を保護
「育成者権」植物新品種を保護
「営業秘密等」営業秘密や商品の表示等を保護
著作物、著作者とは
著作物とは、思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの(著作権法2条1項1号)をいいます。したがって、アイディアなどは著作物に含まれません。ちなみに、憲法その他の法令、裁判所の判決、行政の通達などは著作物ですが著作権は及びません(著作権法13条)。
著作者とは、著作物を創作する人のことを言います(著作権法2条1項2号)。芸術家に限らず、一般の人が書いた手紙でさえ著作物となりますので、書いた人は著作者となり、著作権は保護されます。
著作権制度の概要
著作権は、上記の通り著作者の権利と伝達者の権利に分けられますが、それぞれさらに「著作者人格権」と「(財産権としての)著作権」、「実演家人格権」と「著作隣接権(狭義)」に分けられます。
【著作権】
『著作者の権利』――「著作者人格権」
「(財産権としての)著作権」
『伝達者の権利』――「実演家人格権」
「著作隣接権」
著作者の権利
【著作者人格権】
1 公表権
まだ公表されていない自分の著作物について、それを公表するかしないかを決定できる権利(無断で公表されない権利)(著作権法18条)。
2 氏名表示権
自分の著作物を公表するときに、著作者名を表示するかしないか、表示するとしても実名か変名(ペンネーム)かなどを決定できる権利(著作権法19条)
3 同一性保持権
自分の著作物の内容やタイトルを、自分の意に反して無断で改変されない権利(著作権法20条)
【(財産権としての)著作権】
1 複製権
著作物を形のあるものにコピー(複製)する権利(著作権法21条)
2 上演権・演奏権
著作物を公衆向けに上演したり、演奏したりする権利(著作権法22条)
3 上映権
著作物を機器(テレビカメラなど)を用いて、公衆向けに上映する権利(著作権法22条の2)
4 公衆送信権
著作物について公衆向けに送信する権利(著作権法23条1項)
5 公の伝達権
公衆送信された著作物を、テレビなどの受信装置を使って公衆向けに伝達する権利(著作権法23条2項)
6 口述権
言語の著作物を、朗読などの方法により口頭で公衆に伝達する権利(著作権法24条)
7 展示権
「美術の著作物の原作品」と「未発行の写真の著作物の原作品」を公衆向けに展示することに関する権利(著作権法25条)
8 譲渡権
著作物を公衆向けに譲渡する権利(著作権法26条の2)
9 貸与権
著作物を公衆に貸与する権利(著作権法26条の3)
10 頒布権
「映画の著作物」を、その複製物により頒布する権利(著作権法26条)
11 二次的著作物の創作権
著作物(原作)を、翻訳、編曲、変形、脚色、映画化などにより、創作的に加工することによって二次的著作物を創作することに関する権利(著作権法27条)
12 二次的著作物の利用権
自分の著作物(原作)から作られた「二次的著作物」をさらに第三者が利用すること(二次的著作物を利用すること)に関する原作者の権利(著作権法28条)
伝達者の権利(広義の著作隣接権)
【実演家人格権】
1 氏名表示権(著作権法90条の2)
2 同一性保持権(著作権法90条の3)
【著作隣接権】
1 録音権・録画権(著作権法91条)
2 放送権・有線放送権(著作権法92条)
3 送信可能化権(著作権法92条の2)
4 譲渡権(著作権法95条の2)
5 貸与権(著作権法95条の3)
6 市販CD等の放送・有線放送に対する使用料請求権(著作権法95条)
7 市販CD等のレンタルに対する使用料請求権(著作権法95条の3)
8 生の実演が含まれる有線放送による同時再送信に対する使用料請求権(著作権法94条の2)
※上記は伝達者の例として「実演家の権利」を記載していますが、他に、レコード製作者の権利、放送事業者の権利、有線放送事業者の権利などが著作権法に定められています。
著作権の保護期間
保護期間とは、著作権や著作隣接権など著作権法上の権利の存続期間のことをいいます。著作者等の権利を認め、保護することが大切である一方で、存続期間を定めることにより、その著作物を社会全体の共有財産として利用できるようにすべきとの趣旨から定められています。
著作者人格権:一身専属権のため(著作権法59条)、著作者の死亡まで
(財産権としての)著作権:原則著作者の死後50年まで(著作権法51条)
実演家人格権:一身専属権のため(著作権法101条の2)、実演家の死亡まで
著作隣接権:原則実演(発売、放送、有線放送)後50年
※著作権の保護期間の計算方法は少し特殊で、すべて死亡・公表・創作した年の「翌年の1月1日」から起算します(著作権法57条)。
他人の著作物を利用する方法
他人の著作物を利用する場合は、原則として権利者の了解を得る必要があります(これを著作権法上は「許諾」といいます)。例外的に了解を得なくても利用できる場合があります。それは、保護対象となっていない著作物である場合や、保護期間が切れている場合、次項の権利制限規定による例外の場合などです。
また、商業上は、著作権の譲渡、出版権の設定なども行われます。制度としては文化庁長官の裁定による利用という方法もありますが、これはあまり利用されていないのが実態のようです。
例外的に著作物を無断利用できる場合(権利制限規定による例外)
著作権については、著作権法上いくつかの権利制限規定が置かれ、これらの例外的な場合については、権利者の了解を得なくても著作物を無断で利用できることになっています。
もちろん、例外的に「利用させてもらえる」のであって、「利用できて当然」というわけではありません。公益等の実現のために権利者が負担しているということを忘れるべきではありません。
1 私的使用のためのコピー(著作権法30条)
2 図書館におけるコピー(著作権法31条)
3 引用・転載(著作権法32条)
4 教科書等への掲載(著作権法33条)
5 拡大教科書のためのコピー(著作権法33条の2)
6 学校教育番組の放送など(著作権法34条)
7 教育機関におけるコピーなど(著作権法35条)
8 試験問題としてのコピーなど(著作権法36条)
9 点字によるコピーなど(著作権法37条)
10 リアルタイム字幕の送信(著作権法37条の2)
11 営利を目的としない上演など(著作権法38条)
12 時事問題の論説の転載など(著作権法39条)
13 政治上の演説などの利用(著作権法40条)
14 事件報道のための利用(著作権法41条)
15 裁判手続などにおけるコピー(著作権法42条)
16 情報公開のための利用(著作権法42条の2)
17 放送事業者による一時的固定(著作権法44条)
18 美術品の所有者による展示(著作権法45条)
19 公開されている美術作品の利用(著作権法46条)
20 美術作品の展示に伴うコピー(著作権法47条)
21 プログラムの所有者によるコピーなど(著作権法47条の2)
22 保守・修理などのための一時的コピー(著作権法47条の3)
著作権の登録制度
著作権に関する事実関係の公示や、著作権が移転した場合の取引の安全のために、著作権法上登録制度が定められています。
登録の種類は以下のとおりです。
1 実名の登録(著作権法75条)
2 第一発行年月日等の登録(著作権法76条)
3 創作年月日の登録(著作権法76条の2)
4 著作権・著作隣接権の移転等の登録(著作権法77条、104条)
5 出版権の設定等の登録(著作権法88条)
プログラムの著作物以外のものについては、文化庁で登録を行います。プログラムの著作物に関する登録は、財団法人ソフトウェア情報センターで行っております。